入門編④PoW・PoS・PoIとは?それぞれの特徴・違いについて
先日ブロックチェーンの仕組みの記事のでPoWについて軽く触れましたが、今回はもうちょっと詳しく解説をしていきたいと思います。
コンセンサス・アルゴリズムとは
PoWとは、コンセンサス・アルゴリズムの一つです。
コンセンサス・アリゴリズムを直訳すると、「合意の方法」になります。
そもそも、ブロックチェーンシステムには、銀行のような特定の中央管理者がいません。では、誰が正しい取引かどうかを判断し、記録するかという問題が出てきます。
その、誰が?を決める方法がコンセンサス・アルゴリズムというわけです。
PoWとは?
PoW(Proof of Works;作業による検証)は、コンセンサス・アルゴリズムの一つです。
古典的なP2P(Winnyなど)では、IPアドレス一つ一つに発言権があります。
しかし、IPアドレスを大量に取得できる人がいると、大量にIPアドレスを保有している人に発言権を奪われ、取引を改ざんされるという危険性がありました。
そこで、ビットコインではPoWを採用し、CPUの計算量により発言権を与えることにしました。
具体的には、多大な計算量を要する問題(=特定の条件を満たすハッシュを探す)を最初に解いたものに発言権(=ブロック)を与えています。
ビットコインネットワークに偽の情報を受け入れさせるためには過半数の発言権を手に入れなければなりませんが、そのためにはネットワーク全体の半分以上のCPUパワーが必要となります。
また、過去にさかのぼって改変するのは指数関数的に難しくなるためビットコインネットワークに対する攻撃は事実上不可能といえます。
https://bitflyer.jp/ja-jp/glossary/proofofwork ビットフライヤーHPより引用
この計算作業を行うことをマイニング(採掘)と呼び、マイニングによってマイナー(マイニングを行う人)は報酬を受け取れるという仕組みです。
仮にCPUパワーの半分以上を奪って取引の改ざんを行うことができたとしても、マイニングによる報酬の方が大きいことから、取引の改ざんを行う経済合理性は低いと言えます。
しかし、PoWでは電気料などのコストがかかること、電気料を上回る収益を得るには高性能なPCが必要なことから、個人でマイニングを行うことは現実的ではありません。
現在は、電気料が安い中国で世界全体の80%のマイニングが行われていると言われています。
PoSとは
PoS(Proof of Stake;保有による検証)は、PoWのようにCPUの計算量の多い人に発言権が与えられるのではなく、コインを多く保有している人の与えられるコンセンサス・アルゴリズムです。
PoWのように電気量がかからないため、Powに比べて環境に優しいアルゴリズムであると言えます。
また、悪意のある者が攻撃をする場合は、通貨の過半数を所有し、長期間保有する必要があるため、現実的には不可能です。
このようにPoWのデメリットを補うためのアルゴリズムがPoSです。
しかし、PoSの報酬システムでは、保有枚数が多ければ多いほど報酬が多く貰えて先行者優位が大きすぎるため、通貨の流動性が損なわれるというデメリットがあります。ネズミ講と批判される通貨も多いですね。
PoSを採用している通貨:イーサリアム他多くの通貨
PoIとは?
PoI(Proof of Importance;重要性による検証)は、PoWとPoSのデメリットを補うべく出来たアルゴリズムで、NEMなどで採用されています。
PoIは通貨保有残高・取引量・取引回数などを総合的に勘案してスコアリングされます。
つまり、単に保有枚数が多い人が報酬を得られるわけではないため、PoSよりは通貨の流動性が高まることが期待できます。
NEMではマイニングのことをハーベスティング(収穫)と呼びます。
NEMでは一定量の枚数を保有している人のみがハーベスティングができるため、結局富めるものが富むのでは?などと懸念されています。
PoIを採用している通貨:NEM
おわりに
色々なコンセンサス・アルゴリズムを紹介しましたが、どれにもメリット・デメリットがあり、ブロックチェーンシステムにおいて、今の段階では完璧なアルゴリズム考えられてないということが分かりました。