入門編③ブロックチェーンの仕組み
仮想通貨の理解に欠かせないブロックチェーンの仕組みを簡単に解説します。
ブロックチェーンの概要
ブロックチェーンは、よく分散型の台帳と表現されます。
ブロックチェーンの名前の由来は、ブロックが鎖のように連なっているところからと言われています。
このブロックの一つ一つが取引の情報となっています。
それらが取引の数だけ連なって記録されているので、台帳というわけです。
分散型の台帳とは
次に分散型の台帳というのはどういうことかというと、従来の銀行などの金融機関では、こういった取引台帳はその取引を行う金融機関だけが管理しています。
特定の管理主体がすべての情報を1か所で管理すると、その管理主体の不備によるリスクやハッキングといった第三者からの攻撃リスクに晒される事になります。
しかし、分散した情報管理を行うことのできるブロックチェーンの場合は記録の管理を特定の管理主体ではなく、P2P(Peer to Peer)で行われます。
P2Pとは、中央のコンピューターに当たる管理主体が存在せず、個々のコンピューターが互いに対等の立場で、直接インターネットを通して接続し、データのやり取りを行うネットワークのことです(現在はなくなりましたが、Winnyなどのファイル共有ソフトもP2Pです)。
このP2Pに参加しているコンピューターを「ノード」と呼びます。そのすべてのノードが、取引記録を共有することで、記録の維持を行なっているというわけです。
マイニングとは
この取引記録を記帳・維持するには莫大な計算量が必要となってきます。そのため、有志のコンピューターのリソース(ノード)を借り、その計算を行なっています。その計算行為のことをマイニング(採掘)と呼びます。
マイニングとは、無数にある英数字の暗号のなかから、あらかじめ決められた1つの英数字の羅列である「ブロック(答え)」「発見」し、「承認」する計算作業のことを指します。
この「承認」によって、初めてビットコインは正当な仮想通貨として認められます。
この作業を行う人たちのことを「マイナー」と呼びます。
マイナーは、これらの作業を行うことによって報酬を得ることが出来ます。
マイニングというと、何か難しいことのように感じますが、実はパソコンやスマホがあれば誰でも出来ます。ただし、実際にマイニングにより収益を得ようとすると、大量の計算処理を行える高性能のパソコンが必要となります。
そのため、一般の人がマイニングしても収益よりも電気料の方が高くなってしまいます。現在は電気料が極端に安い中国で世界全体の80%のマイニングが行われていると言われています。
取引の検証の仕組み PoWとは
P2Pネットワークにおいては、ネットワークに参加しているノードのうち一つが代表してブロックを生成し、それを他のノードが正しいか検証する作業を行います。
もし代表のノードが悪意のある人だった場合、嘘の情報でブロックを作成し、取引を偽装する可能性があります。これを防いでいる仕組みが、プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work ; PoW)です。
仮に1つの取引を改ざんしようとしても、その取引以降のすべての取引のデータが書き換わって変質してしまうため、ほかのノードに保存されている本来同一であるはずのブロックチェーンとの不整合により、そのブロックチェーンおよびノードの虚偽が発覚するのです。
改ざんは絶対に出来ないのか?51%攻撃とは
では、取引の改ざんは絶対に出来ないのかというと、理論上は出来ます。全ノードの過半数を味方につければ、嘘のブロックでも承認されるからです。これを51%攻撃と呼びます。
しかし、51%攻撃はゲーム理論では起こり得ないと考えられています。仮に過半数のノードを味方に出来る能力があったとしても、その能力があれば、きちんとした検証作業を行なって報酬をもらった方が利益が高いと考えられているからです。